ランニングやジョギングは走っている最中は苦しいですが、走り終わった後の爽快感、達成感はとても気持ちがいいですよね!
コロナ禍の影響で人と合わない趣味のためにランニングを始めた人も多いと思います最近は健康志向の人も多く、各地域でマラソン大会が開催されており、多くの人が参加しています
健康のためのランニングではありますが、実は体の使い方を間違えると股関節や膝、足首などに負担をかけてケガをする可能性があります
いわゆる体への過負荷(オーバーユース)によるケガです
走る距離も、数キロ程度から多い人で1日で数10キロ以上走る人もおり、運動時間も長いため負担がかかりやすいとされています
今回はランニングで痛みを起こさない体作りとそのチェックポイントを理学療法士の目線からお伝えします
ランニングで起こりやすい怪我
ランニングで起こりやすい怪我
1. 腸脛靭帯炎(ランナー膝)
- 長距離ランニングや自転車などで膝外側の腸脛靭帯が大腿骨外側顆と繰り返し摩擦する
- 下肢のアライメント不良(O脚、回内足など) ※回内足は土踏まずがつぶれる足の形
- 過度な練習量や硬い路面での走行
- 柔軟性不足による靭帯の緊張
2. 膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)
- バスケットボールやバレーボールなど、ジャンプ・着地の繰り返しによる膝蓋靭帯への過負荷
- 大腿四頭筋(太もも前の筋肉)の過剰使用による牽引ストレス
- 急激な運動量増加や硬い床での競技
- 筋力や柔軟性のアンバランス ※ランニング動作でも上下の動きが大きいとなりやすい
3. 疲労骨折
- ランニングやジャンプなどの繰り返し荷重による骨への微細損傷の蓄積
- 骨密度の低下や栄養不足(カルシウム・ビタミンD不足)
- 硬い路面や不適切な靴による衝撃増加
- 急激な運動量増加や休養不足
4. 鵞足炎(膝下の内側の痛み)
- 膝内側の鵞足部(縫工筋・薄筋・半腱様筋腱付着部)の摩擦や炎症
- ランニングや階段昇降などの繰り返し動作
- 内転筋やハムストリングの柔軟性不足
- O脚や膝の使い方の癖による負担集中
5. 肉離れ(筋損傷)
- 筋肉が伸ばされながら収縮する遠心性収縮で発生
- 急なダッシュ・ストップ・ジャンプ動作
- ウォーミングアップ不足や柔軟性低下
- 筋疲労や筋力のアンバランス(前後・左右差)
これらのケガは不良姿勢や使いすぎで起こる事が多いです!
なぜランニングは怪我をしやすいか
体の左右差が大きい

体の左右差が大きいと、同じ動作している中でも片側に負担がかかりやすいです
健康のためにランニングをしている人も注意が必要ですが、特に大会に出るようなレベルで本気で取り組んでいる方は要注意!
箱根駅伝に出るレベルの大学生のリハビリに関わった経験がありますが、普段からトレーニングしているアスリートでさえ左右差が大きく、膝や股関節を痛めている事が多い印象です
普段のトレーニングも、左右差がありながら行っている事が多く、自身の左右差や感覚のずれ(自分では真っすぐを向いているつもりだが、体がねじれているなど)事が多くみられました
左右差が全く無い人はいませんが、普段の生活の仕方、体の特徴、体の使い方が影響するため、左右差を少なくする意識はケガ予防のために必要です
ランニングシューズが合っていない

数年前から着用率が上がっている厚底のランニングシューズは、床の反発力が強い分スピードに乗りやすくタイムが出やすいのが特徴である
床の反発力が強く、タイムが出やすい反面、足への負担が大きいとされている
男性ランナーを対象とした研究では、厚底シューズ使用の70%の人がランニングによるケガを経験しているという報告があります
また厚底シューズにて効率的なランニング動作を行うには、骨盤の制動性が重要であるとされています
つまりシューズを選ぶ段階で、自分がどのくらいのレベルにあるのかを知ることが必要です
例えば、普段から十分なトレーニング等はせずに、健康のためにジョギングやランニングを続けたいと言う人にとって、
厚底シューズは足への負担を大きくする可能性を考えておく必要があります
語弊が無いようにお伝えすると、厚底シューズを使用してはいけないと言うわけではありません!
ランニング効率を向上させ、ハイパフォーマンスを出せるシューズです!
使用するためには体幹や下肢のトレーニングや、砂浜や芝生の上を裸足で走る(ガラスや石を踏まないように注意!)など、靴に頼らず自分の足で体を支えるような練習が必要だと思います
運動量に体が付いていっていない

例えば、学生の頃にたくさん走った経験がある方が久しぶりにマラソンするとします
以前は10km走っていたから、すぐに走れるだろうと走り始めてしまうのはケガをするリスクが高いです
特に普段体を動かしていない社会人は、自分が思っている以上に体が動かなくなっています
また、走行距離がランニング障害の重要な因子であるという報告があります
中高年の男性ランナーでは月間200km未満、中高年の女性ランナーでは150km程度にとどめる事が望ましいとされています
初めはゆっくりのジョギングもしくはウォーキングから開始して、徐々に走る距離や速さを増やしましょう!
計画的に走る距離を決めるとケガのリスクを抑える事ができると思います
ランニングで怪我をしないためには
体の左右差を少なくする
前述したように、体の左右差が大きいと負担が偏りやすくなるため左右差のチェックが必要です
ランニング動作においてケガをしやすい状況は、足が地面に着地する衝撃が反復する事が多いです
そのため片足で支えられる柔軟性、筋力、バランス能力はケガ予防のためには必須!
※股関節、膝、背骨の手術をしている人はこれから紹介するチェック方法や運動等はケガをしない範囲で行ってください!
不安な場合は、病院の先生や理学療法士などに相談しましょう!
片足立ち

右の写真のように、片足立ちでまっすぐバランスをとれないという事は、足を着いた瞬間に支えられないという事です!
厳密には片足で止まる動作はありませんが、スピードが乗っている状態では、静止している状態よりも強い負荷がかかります
時間と距離が長いマラソンやジョギングの場合には、何度も強い負荷がかかることが予想されるため、ケガ予防のために左右差をチェックしてみてください
しゃがみ込み

しゃがみ込む動作は、股関節、膝、足首の柔軟性が必要で、特に足首の影響が大きい印象です
写真右のように踵が浮いてします場合は、足の背屈(つま先を持ち上げる)が硬いです
足首が硬い場合は、着地の際の衝撃吸収が難しくなり、片足立ちが難しくなる可能性があります
体をひねる

体のねじれは骨盤の傾き、股関節の柔軟性、腹筋群の左右差などによって起こります
ランニング中に体のねじれが大きいと、片側の足に負担がかかりやすくなるため、要注意!
足を組む

右の写真は左のお尻の筋肉(外旋筋群など)が硬くなっており、股関節の柔軟性が低下しています
体の構造から、足を組みにくい側と、体をひねりにくい方向は同じことが多い印象です
自分に合ったランニングシューズを選ぶ
自分の足の形を知る
まずは自分の足の特徴を観察してみましょう!
幅広い足か細い足なのかそれぞれに足の形も違います
例えば、偏平足(土踏まずが少ない)や開張足(指の付け根が広がっている)など足の形は様々で当然合うシューズも違ってきます
自分の足の特徴とシューズの特徴をみて参考にしましょう!
購入する時間帯を考える
人間の足はだいたい朝と夕方では、0.5~1.0cmくらい大きさに差があると言われています。
理由として体重がかかりアーチ部がたるみ、広がってしまうことと、血液が足へと下りてきてしまうため、足がうっ血してしまうためです
特に長距離ランナーの場合ランニング後半で足への血液量が増加しやすいとされています
シューズを購入するのは、足が大きくなった午後がおススメです!
履いて片足で立ってみる
片足で立ち全体重をかけると、土踏まずなどのアーチがつぶれて足の底面への接地面積はかなり広がります
立っているだけでも差があるので、走ったりジャンプしたりするとさらに足への負担が大きくなります
店員さんに許可をとって、ちゃんと片足でのチェックするのと、可能であれば軽く走って感触を確かめる事が重要です
自分のレベルに合っているかどうか
前述したように、厚底シューズを選ぶ場合はタイムは出やすいが、足への負担が大きい事を考えなけらばなりません
デザインの面もありますが、トレーニングの有無、走る距離、大会に出場するかなどを考えて選びましょう!
スポーツ用品店や専門店では、スポーツシューフィッターの資格を持つ店員さんがいる場合があるため、相談してみるのもおススメです!
怪我をしないためのトレーニング
左右差の少ないケガをしにくい体をつくるためのトレーニング方法をご紹介します
各トレーニングの際も体のねじれや左右差がないように意識して実施しましょう!
自分でチェックするのは難しい場合は、だれかに見てもらう事もおススメです!
フォワードランジ

- 大きく前方に1歩出すように踏み込む
- 出した足の膝が、つま先より前に出ないように意識する ※上手くできると太もも後ろに、力が入る感覚
- 左の写真のように、つま先と膝の向きが同じ方向を向くように行う
片足のかかと上げ

- 膝を伸ばしたまま母趾球(親指の付け根)で地面を踏むように行う
- 左の写真のように足の裏が見えるぐらいしっかり上げる
- 踵を下す時はゆっくり行う
- 手すりなどにつかまりながら実施 ※できる人はつかまらないで実施
対側の手足を上げる運動(ダイアゴナル)

- 四つ這いになり、対側の肘と膝をくっつける
- つけた肘と膝を対角線になるようにまっすぐ伸ばす
- 骨盤の位置をなるべく動かさないようにして、これを繰り返す
- 回数を決めて左右を入れ替えながら行う
片足スクワット

- 浮かしている膝蹴りをするように前に出し、片足で2秒止まる
- しゃがむのと同時に浮かした足を後ろに蹴る
- 着いている足の反対の手でつま先をタッチ ※難しい人は膝タッチでもOK!
- つま先をタッチしたまま2秒止まりまた最初の姿勢になる
- 着いている足の母指球を意識して行う
各トレーニングは負荷量が高く難しいものが多いです
トレーニングの最中も左右差が少なく、なるべくまっすぐを意識していただけるとケガをしにくい体に1歩近づくと思います!
ストレッチの方法はこちらの記事の内容を参考人してください!
https://masuofuji.com/knee-pain/
まとめ

ランニングは心も体もリフレッシュできる素晴らしい趣味ですが、楽しみ続けるためには“ケガをしにくい体づくり”が欠かせません
特に左右差のチェックは、痛みやオーバーユースを防ぐための大切なポイントです。
片足立ちやしゃがみ込みなど、日々の簡単な確認で走りの質も向上します
自分の体と向き合いながら、無理なくランニングを続けていきましょう
あなたの健康的なランニング習慣を心から応援しています!
参考文献
市民ランニングチームにおけるランニング障害の疫学調査:今井寛 他;日本臨床スポーツ医学会誌,Vol18,No.1,2010
男性長距離走選手の厚底シューズの着用がランニング障害に及ぼす影響:植山剛裕 他;日本臨床スポーツ医学会誌,Vol.30,No.3,2022
ランニングシューズの選び方:ASICS公式サイト;https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/support/help/shoes/select


コメント